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Facebookなどでつながっている方やKAIRI EGUCHI DESIGNのFacebookページをフォローして下さっている方はご存じかと思いますが、心ある方々のおかげで10/1にめでたく設立8周年を迎える事ができました。
※前職を退職したのが2008年9月30日でしたので10/1を設立の日と定めています。
毎年このように記念となるブログを書く事はありませんでしたが、スタッフを雇用して3年以上が経ち、またある一定の自分の目標第一段階をクリアできたこともあってこの度筆を執っています。8年目に行われた事をまとめてみました。こういう振り返りはやったことがありません。ですが主観だけでなく客観も同じように自分が求めなければエゴになると思っています。特に過去には客観性を持って未来の主観としなければ子供と同じですね。
10月 …自主企画デザインイベント[Viva la Vino]を大阪市西区にあるTAKAMURA WINE & COFFEE ROASTERSで開催しました。さして告知などはしませんでしたが、立地やタカムラ自体のお客様も参加してもらえたりと6日間で400人程の動員がありました。関西は東京に比べデザインイベントが少なく、またデザイナーだけでなく一般の方も気楽に参加できるようなイベントは日本は海外よりも少ないと感じた為に、営業活動のような催し物や展示会を開催するよりは、一般の方とのコミュニケーションできる場作りが地元大阪には重要ではないかと思い、結果的にかなり費用がかかりましたが自主企画として行う事ができ嬉しく思いました。デザインイベントは規模より純度だという事も実感。
11月 …ベトナム/ホーチミン、ダナン、ホイアンの旅。人口増加の一途をたどり、今後世界の主力マーケットの仲間入りをすると言われている東南アジア。彼らがどういう文化を持ち、どういう暮らしをしているかをリアルに体験する為の旅。食、人、衣、自然、最高の国でした。また水耕栽培機GreenFarmの特別イベントが当時話題だった二子玉川の蔦谷家電で行われました。実際に使用して頂き価値を理解してもらう事が非常に重要でデザインはその体験のきっかけの一つだと思います。
12月 …私たちの軸足の一つになりつつある台湾/台北、台中、台南への旅。台湾のクライアントと打合せ、新規工場視察、現地デザイナー、ディレクター達とのミーティングなど内容の濃い二度目の台湾でした。この頃からサローネへの準備が加速し始めます。
1月2月 …ミラノサローネサテリテへの出展の手配関連。旅券、宿、その他現地で必要な事などをまとめつつ。
3月 …大阪ギフトショー開催。ミラノサローネについての講演を依頼され一般のクリエータの方にサテリテの魅力を伝えました。そして初となる英語でのインターンシップ受け入れ。事務所の公用語が英語となり後にこちらの成長にもつながるインターンシップが始まりました。
4月 …3度目のミラノサローネサテリテ出展。かねてからの夢であり目標であったミラノサローネサテリテに3度出展できた事はとても誇らしく、また自分の今後の人生の大きな糧になる経験でした。また次のチャンスの話も得る事ができるなど実りある展示でした。そして帰りに羽根休めで滞在していたオランダ/アムステルダムでiPhoneカバーのXPORTERがイタリアのA’DesignAwardを受賞したニュースが入りました。国際的な賞を受賞させて頂くという経験その物があまりありませんでしたがグローバルな活動を目指す自分たちには必要な経験だと改めて感じました。
5月 …独立して以来初めての長期連休を取得しました。この頃から今年の10月に合同でイベントを開催するイタリアの照明ブランドFLOS様とのミーティングが始まりました。またデザインリサーチャーの久慈達也さんにサローネで声をかけられ、デザインクリエイティブセンター神戸(KIITO)で行われているキイトナイトというイベントでサローネについてのトークセッションを行いました。またサテリテで出展したmosaic stoolがイタリアのFENDI社のマテリアルライブラリーに収蔵されました。
6月 …3年近くかけて泉南郡の池鉄工様と取り組んできたアルミのテーブルウェアシリーズ[MINIM]が東京のインテリアライフスタイル展にて発表となり、大きな結果を得ました。この秋に発売が開始されます。まったく1からのスタートでその会社が持つポテンシャル、シーズを活かす為のデザインをする状況を作るのに2年近くかかりましたが今ではかなりフィットし、外部ブレーンとしての役割を機能させることができていると実感しています。また末頃には中国杭州にて竹を使った製品作りをするワークショップにメンターとして招待され5日間程滞在し現地の優秀な学生と交流しました。この経験は非常に大きく、日本のデザイン教育、その質、デザインに対する投資の在り方の差など多くの「違い」を知ると同時に大きな危機感を感じる結果ともなりました。詳しくは2つほど前のブログを参照してください。
7月 …再び中国杭州へ。お土産のパッケージデザインのワークショップのメンターとして参加。先ほどの記述と同様の事をここでも感じ、自らの教育思想そのものを転換する事も決意しました。また自分たちの活動領域が大きく国内からアジアへと拡がっている事も実感しました。そしてタケダデザインプロジェクトのDESIGN TOKYOでの展示。新しい技術に取組み、それを具現化、商品化するというプロセスはとても困難ですが、これを実現させてくれるタケダデザインプロジェクトの寛容さを感じました。今製品化に向けて動いており、もうすぐ目処が立ちそうです。XPORTERがアメリカのInternational Design AwardのProduct Designの金賞を受賞しました。こういう賞は実は受賞するのは結構難しいのですが、自分たちの努力は当然必要ですが、さらに言えばクライアントの熱意がそれを左右する気がしました。
8月 …事務所始まって以来初めてのリフレッシュ休暇をスタッフに取得してもらいました。暦のスケジュールと合わせると17日間。日本では考えにくいですが、そのあたりも自分達は少しずつ離れて行ってるんだなぁと思います。業務も半分近く海外のプロジェクトになりそれに合わせて業務体系や就業規則も変わってきました。そういう大きな変化が在ったのが8月でした。そしてフランスから来てくれていたインターンシップもここで終了となりました。
9月 …サテリテでの出展がきっかけとなり招待されたCHINA INTERNATIONAL FURNITURE FAIRのEAST DESIGN SHOWにサテリテに出展したMOSAIC シリーズを出展。現地ブランドとの打ち合わせも兼ねての1週間の滞在で、非常に高い評価を得たと同時にEAST DESIGN SHOW自体に新たな兆しや予感を感じた一週間でした。昨年9月に上海へ行ったときはコネクションはほとんどなかったのですが、今年は昨年と違い多くの方が出展を手伝ってくれたのは、上海の隣にある杭州でのネットワークが拡がったからだと思います。全てはつながっていますね。
昨日から9年目がスタートしていますが、9年前の今頃リーマンショック後の日本で関西の企業様に一件一件電話して営業していた頃をふと思い出しました。茫洋とした止め処ない不安が秋の傾いた陽光の中でチラついていた頃から考えると随分遠くまで歩いて来れたなぁと思いつつ、それはたくさんの心ある人達のおかげで自分達は今成り立っているなと思いました。
デザインだけに限らず、仕事は人だと思います。人がどれだけ人に賭けれるか。想えるか。それが次の仕事(出来事)を育むのだと思いました。私はもらった物が多いので、次の世代に還元していく姿勢を今後さらに強めようと思っています。
今日もまた傾いた陽光が照らす街を見ながら9年目に何が起こるかを楽しみにしています。そのイメージの中でチラつく茫洋とした不安も今もまだ心の中にあるのですが、それがあるからこそ今に感謝できるのだと思えるようになった事が自分の一番の成長なのかも知れません。