SATELLITEへふたたび⑤

4/11日 移動日 大阪>アムステルダム>ミラノ
朝が来ました。いよいよまたサローネに向けて出発。大阪はあいにくの天気。
日本から海外出展する時のもっとも大変な事。それは海外に向けて作品を持っていく事です。そういう面ですでに欧州住みのデザイナーに利があります。逆に東京の展示会に出すには日本人デザイナーに利があるのも言えますね。飛行機に乗らないとその場所に行けないというのば物流面で相当大きな負担がすでにあるわけです。
今回は家具が四点、照明が四点、ガラス製品が計10点と日本から行くにしては相当大がかりな内容。しかもガラスや照明の下の展示台も日本から持ち込む予定なのでその荷物の総量たるや…。三年前サローネや去年のロンドン同様に自分達が乗る航空便に荷物を載せる作戦ですので、当然超過料金覚悟で事前に航空会社のウェブサイトでチェック。今回は往復共にエールフランス系列なので、寸法は3m以内であれば積載可能。重量は制限なしとの判断(ここはあとからミスします)。出発二日前に綿密なテトリス工作をし、箱の中におどろくほどぴったりな収まりを完成させました。中であばれて作品が壊れないようにする為にサランラップの親玉みたいなものやエアキャップ、箱の角に段ボールを折って入れて角を守るなど相当な補強が必要。
あと怖いのはロストバゲージである。今までそれは無かったですが過去に出展者が展示開始後も2、3日荷物が届かずブースが空になった記憶があります。それが怖いので箱に「To MILAN」と書いたり、効果があるかわかりませんが超過料金という特別手続きを行う事で荷物のプライオリティを上げてロストの可能性を下げています。
しかしこれだけ多くの作品をどのように空港まで運ぶのかが大変です。前回は友人に作品だけ空港に運んでもらいました。今回はどうしようと考えたところ、関空乗り捨てのレンタカーがあるらしく、前日の夜から借りて早朝積み込み、当日返却で行く事になりました。なるべく手間をかけない選択もアリですね。公共交通機関にはこのサイズは大きすぎる。今回のメンバーは多種多様で、スタッフのエンヤと友人の中塚君、いつも作品のサポートをしてくれているBRIOの八代さんは最初から最後まで同行です。それ以外に向こうでも多くの人と行動を共にします。今回のレンタカーは八代さんにお願いして早朝積み込みから関空までお願いする事に。
フライトは10:30。荷物が多いのでだいたいその3時間前に行ってチェックインカウンターで荷物の検査を受ける。荷物は32kgまでしか載せてもらえないという部分を見落としてしまっていた為に、一番大きな荷物「通称TSUKA BOX(中塚君が持つ箱の意)」が35kgとオーバーしていた。ロンドンでの経験で空港には再梱包コーナーがあるのを知っていたので荷物を一度空けて分ける事に。何をどのくらい減らせば指定の重量になるかが重要なのですが、そこもロンドンでの経験を活かす。荷物は梱包時にどの部材がどのくらいのサイズでどの重量でどのように収まっているかを図的にまとめておいた。そうすればこういった「時間の無いなかでの対応」が簡単になる。その頃に教え子の田中さんが登場。田中さんは別の航空便でミラノまで行く事になっており、関空で一度合流し、ミラノで再度合流する。その人のスーツケースに少し余裕があるとの事できっちり3kgの重量をそちらに移させてもらい、計量クリアとなりました。
海外の展示会でやはり重要なのは連絡網でしょう。今時はLINEやMessengerがあるので簡単ですが昔はきっとなかったので大変だっただろうなと思います。今回はポケットwifiを一台関空(4階国際線チェックインカウンターの近く)でレンタルをし、向こうでの携帯電話は向こうでSIMカードのレンタルをする事に。日本の携帯電話はSIMがロックされており、海外のSIMを認識しないのでふつうは使えません。僕はappleストアでSIMフリーの携帯を購入し、また先日青島でNOKIA製のスマートフォンを購入していたので、向こうに着いたら二台にSIMを入れて連絡できるようにしようと考えました。荷物を再梱包している間に、換金をポケットwifiを借りるという時間短縮は人数が多いからできる事。単身もしくは二人とかで行く場合は事前にできる事をすべて済ませておく必要があります。
無事にチェックインが終わり、田中さんともしばしの別れ。セキュリティゲート→出国審査となるわけですが去年のロンドンや三年前のミラノと大きく違うのは空港がとても混んでいること。日本には今多くの外国人観光客が訪れていますがその影響たるや感覚値で三倍ほど。その影響からか出発ギリギリのお客さんは特別に通してもらえるような事になっていますが、迷惑をかけてはいけないので時間をゆっくり過ごすなら早めのチェックインと出国審査を心掛けたい所。関空は幸いにも出国後にもカフェもあるし免税店もあるのでそちらで余裕を持つのもいいと思う。
さて飛行機に乗ります。今回は行きはKLM(オランダ航空)でアムステルダム経由。帰りはパリに用事があるのでエールフランスでパリ経由を予定。どちらもエールフランス系列だからこのような旅券手配をしてくれたんだと思います。普段LCCやアジアの航空会社を利用しているので欧州の国際線のサービスの良さを実感。値段の差はこういう所に現れますね。サービスというのは結局人で行われる事でそのサービスそのものの質が高い事と、KLMは隅々までデザイン(特にCI)が統一されており洗練されていました。航空会社に関するCI関連のデザインの仕事は一度やってみたいと前から思っていましたがその気持ちは強くなりました。
乗る事11時間半。八代さんと中塚君は長距離は相当久しぶりのようでかなりお疲れの模様。旅の達人のエンヤは慣れたもの。僕も少し慣れたでしょうか。無事にアムステルダム(スキポール空港)に到着。アムスは雨です。欧州はセキュリティがきびしい印象がありました。少し尋問され通してもらう。空港内はカフェ、服屋さん、電化製品の店などが立ち並び、発泡酒のバーがあったりと結構時間を使える空港ですがあまり時間が無かったためさくっと見て搭乗ゲートへ。三年前もそうでしたがここに来るとミラノサローネ出展者が多く見受けられ特に日本人が多いように感じます。日本のデザインのサローネに対する関心の高さを感じました。
飛行機は小さくなりいざミラノへ。空港で三人合流する予定なのですがみんな無事に来ているだろうか。同行メンバーの佐々木さんは専門の一年後輩。昨年夏に再開しミラノサローネに同行したいとの事で今回別ルートでミラノ入りし向こうで合流する事に。あと一日前から入っているマレーシア人のジン君もリナーテ空港で合流予定。飛行機はゆらゆらしながらも無事に着陸。陽が長く温暖な春がミラノを感じさせます。欧州は公共の物を利用する際はお金が必要だったりします。前も同じことを繰り返したのですが、1ユーロコインが無いと空港でよくある大きなカートが利用できません。それを忘れており紙幣しか持っていなかったのですが同行メンバーの中塚君がコインを少し持っていたので無事にカートを使えることに。サローネに出展を考えられている方はカートを借りる為のコインを少し置いておくといいと思います。
無事にジン君と合流、あと田中さんと佐々木さんが合流すれば出発できます。しかし田中さんは来ましたが佐々木さんが来ず、待ち合わせ時刻を少し間違えていたようです。連絡手段が無いというのはとても大変です。昔は携帯が無かったので約束時刻のプライオリティが高かったのだろうと思います。どうにか無事に合流。三年前は大荷物でかなり疲弊していたので「TAXI?」と話しかけてくるスーツの人につい乗せられてしまい通常の三倍の料金を取られる事になったのですが、今回はあらかじめミニバスをチャーターしていました。ちなみにイタリアのタクシーはボディカラーは白。車の横にナンバーが書いてあるものが正規に認められたタクシーらしく、向こうから話しかけてくる事は基本無いそうです。
荷物が多い事とメンバーも多いのでいずれにしてもタクシーはきびしいなと思っていたところでした。今回はボリュームは前より大きかったので日本で事前にチャーターしておいたのが良かったようです。全員で7人。ミニバスに乗り込みいざ出発。AIRBNBで手配していたアパートまで40分くらい。こういった旅行関係のサービスが今は充実しているのでサローネは近くなったんでしょうね。それだけに10年くらい前にサローネに出展していた価値というのはとても高かったのかなと思ったりします。
さてアパートの到着。ロンドン同様に三階建ての住宅でラバトリーも二つあって快適そうです。着いた時刻はPM9:30。今からじゃどこのスーパーも空いてないだろうから近くを少し探索していたらチャイニーズテイクアウトを発見。スパゲッティ○○と書いていますが実際は焼きそばやビーフンや春雨。なるほどイタリアでレストランをする時は麺はスパゲッティと表現しなければならないわけですか。なるほど。
とりあえず無事の到着を祝ってビールで乾杯。あとアパートを貸してくれたオーナーさんがシャンパンを用意してくれていましたのでそれをスパゲッティほにゃららをお箸で食べながらミラノらしくない初日を終える。明日はいよいよ搬入。ここまでトラブルがあまりないので少し怖いなと思いつつ。